地熱発電
GEOTHERMAL POWER SECTION
地海に眠る秘めたるエネルギーを解放する
地中深く、誰も見ぬ熱水の海から、最高温度の蒸気を導く
柳津西山地熱発電所(福島県柳津町)

1966年、国内初の地熱発電所が
岩手県松川温泉地区に稼働

地熱発電はクリーンで安定した純国産エネルギーを活用した電源として電源多様化の一翼を担い、着実に開発がすすめられてきました。
日本の地熱発電所は、ほとんどが東北と九州の火山帯に立地しており、私たちはこの東北の背骨であり火山フロントである奥羽山脈の東と西に、地熱発電に関わる事業を展開してきました。日本最初の地熱発電所として1966年(昭和41年)に運転を開始した松川地熱発電所(発電設備リプレース中)。松川は蒸気だけが噴出する「蒸気卓越型」と呼ばれる国内で唯一の地熱地域にあり、熱水も一緒に噴出する他地域では必要となる気水分離器(蒸気と熱水を分離する装置)が不要になるなど、シンプルな構造でより経済的な発電が可能です。
同じく岩手県下の葛根田地熱発電所は、日本で最初に高温熱水還元クローズドシステムを採用、日本産業技術大賞を受賞しています。

上の岱地熱発電所の蒸気基地(秋田県湯沢市)

そのほか秋田県湯沢市では、上の岱地熱発電所が運転開始以来30年にわたり高い設備利用率で安定運転を維持。なお、その特徴は世界で初めて蒸気への清水注入方式によるタービンスケール付着抑止装置を実用化したことです。
また、東北地域最北にして、八幡平地区標高1,062mという高い所に位置する澄川地熱発電所や、日本初の硫化水素除去装置を導入し、周辺環境の保全に努める柳津西山地熱発電所など、その電力は送電線にのせて東北・新潟に送られています。
さらに、上の岱に隣接する木地山地域では、地熱調査の結果有望な資源が確認され、14,999kWの新たな発電所の運転開始に向けて、建設を進めています。

発電所、蒸気基地の状況を常時監視

環境への配慮と地域への貢献

東北の火山帯には、温泉など火山の恵みを生かした暮らしと文化が営まれており、地熱発電とそれを支える蒸気基地は、これらの環境に細やかな配慮を施しています。蒸気基地では、施設敷地内から斜めに蒸気の生産井を掘り、国定公園の自然環境に影響を与えず、蒸気の確保ができるよう配慮しています。
また、松川地熱発電所では、蒸気を使って温水を作り、温水供給会社を通じて地元の温泉郷や農業組合に送られ、宿泊施設の給湯やハウス栽培の暖房に使われています。
もとより気候の変化等にあまり左右されない安定特性を持つ地熱発電は、持続可能なクリーン電源として付加価値が高まっています。

地熱発電のしくみ

地表より数kmから数10kmの深さには、約1000℃もの熱を持つマグマが眠っています。このマグマ等で加熱された地層中に、地表から浸み込んだ雨水が到達すると地熱流体(200~350℃の熱水や蒸気など)の溜まり場(地熱貯留層)が形成されます。
この地中深くにある地熱貯留層に生産井と呼ばれる井戸を掘り、地熱流体を噴出させ気水分離器で蒸気と熱水に分離し、分離した蒸気でタービンを回して発電するのが地熱発電です。
タービンで仕事を終えた蒸気は復水器で冷却され温水となり、温水はさらに冷却塔で温度が下げられ冷却水として再利用されます。気水分離器で分離した熱水は、還元井と呼ばれる井戸を通して再び地中深くに戻されます。


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